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翡翠之城 [ミャンマー]

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『翡翠之城』趙德胤(チャオ・ダーイン/ミディ・ジーMidi Z)監督 




監督は母親と一緒にマンダレーの刑務所から出所する実兄を迎えにいく。16年ぶりの再会だった。(といっても再会の映像はなく、モノローグや音声での説明である)そんな兄が、再び一獲千金を狙って、カチン州ロンキンにある翡翠鉱山に戻るという。カメラを持った監督はそれに同行して行く。政府軍とカチン独立軍との戦争が耐えない中で、長きに渡り翡翠を採掘してきた兄。そしてその仲間たち。兄の半生とともに家族の歴史があらわになっていく。

近年観た中ではかなり異彩を放つドキュメンタリーだ。まず、冒頭の霧がかったマーブル状の風景や、翡翠色と妃色を強調した色彩設計に魅せられる。(もちろんそれは翡翠の石の色を意識してるのだろう)そして、意図したのかたまたまなのか判らないが、時系列を混乱させる朴訥としたナレーション。それが翡翠鉱山の小屋で充満する阿片の煙と否応なく重なり合う。歳の随分離れた弟はただ静かに兄の心の闇を見つめ、現実を受け入れる。監督はマラリアにかかったり大変そうだ。ちょっとヤラセかな?と思うようなシーンもあったけど。音楽は林強。
ドキュメンタリー・ドリームショーin東京で鑑賞。

台湾を拠点に、中華系ミャンマー人というマイノリティの視線で、故郷ミャンマーの知られざる実態を映画にしていく監督は、世界で注目を浴びている。
(追記)2019年のカンヌある視点部門へは『Nina Wu』[灼人秘密]という劇映画を出品。どうやらMeToo運動に着想を得たバックステージもののスリラーらしい。さらなる飛躍が楽しみだ。



ついでに、いくつか観たミディ・ジー監督作品のまとめ。

●『14個のリンゴ』(2018)

不眠症に悩む王興洪は”2週間仏門に入り、1日1個のリンゴを食べよ”と言う占師のお告げを実行する。普通の俗物男がいざ坊主姿になると、聖人として迎えられ、村人がひれ伏し敬う姿に苦笑する。出稼ぎする女性たちの会話、女性への禁忌・蔑視、透けて見えるミャンマーの実情。最後はオチか…と思われるイビキ。やっと眠れたのか?(それとも誰かのイビキがうるさくて眠れないのか)虚実皮膜的な映画ではある。
「♪スクーターを借りよう、君が望むなら、日本製は無理だけど、ここにあるのは中国製だけ」の歌謡曲。広角気味で列を追う画が印象的だった。王興洪(ワンホンシン)は『リターン・トゥ・ビルマ』の主演でもある。
(恵比寿映像際2019にて鑑賞)

●『マンダレーへの道』(2016)

ラーショーからタイへ密入国で出稼ぎにきた蓮青と阿國。國は彼女に想いを抱き、蓮青は台湾へ行きたいと願っている。労働許可証・旅券を得るために奔走し、タイの村の娘に成りすますが…。実際の事件と監督の兄姉の体験を元に中華系ミャンマー人労働者の実態を描く力作。
(フィルメックスで鑑賞→https://e-train.blog.so-net.ne.jp/2016-11-27-2#more


●『マイ・フォークス・イン・ジェイド・シティ』(2015)

『翡翠之城』の派生的な作品。
(恵比寿映像際2018にて鑑賞)

●『リターン・トゥ・ビルマ』(2011)

台北の建設現場で働く王興洪は事故で亡くなった友人の遺骨を持って故郷ラーショーへ戻る。『マンダレーへの道』が劇画的だとしたら、こちらは等身大ポートレートといった風。漏れ聴こえるビルマ語曲と華語曲が中華系ビルマ人の夢と現実を語る。
(恵比寿映像際2018にて鑑賞)

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