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17th FILMeX [アジア総合・日本]

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第17回東京フィルメックス

今年も粒ぞろいでした。特集はイスラエル映画。
グランプリの『よみがえりの樹』と『ティクン〜世界の修復』が今年の収穫だった。
キン・フーやエドワード・ヤン、加藤泰も観たかったが公開決まっているのでグっと我慢。

以下、ツイッターメモのまとめです。


【2016年11月20日(月)】
フィルメックス1本目、リティ・パン監督『エグジール』を観て来た。午前中、庭師やってたら終わらなくてシンポジウムは断念する。

●『エグジール』リティ・パン監督 (カンボジア)

前作以上に監督の個人的な記憶が深化され、詩的な表現となって昇華されてる。オンカー時代に過酷さ故に眺めていたと思われる美しい月。飢えとスプーン。亡き母の写真。そんな経験をしつつも革命の思想を捨てられるか?と自問する。監督がパリに逃れたのは15歳の時。胸が詰まる。

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【2016年11月21日(日)】
フィルメックス2日目。『バーニング・バード』『神水の中のナイフ』『マンダレーへの道』『私たち』を観てきた。

●『バーニング・バード』サンジーワ・プシュパクマーラ監督(スリランカ)☆

夫が無実の罪で逮捕・処刑されたその妻と子供たち。妻は困窮のため売春に身を落として行く。1989年の政府による左翼運動の弾圧を背景にした作品。国家の暴力が弱者とりわけ女性に連鎖していく様が恐ろしい。前作同様、大胆な性描写と斬新なショットに圧倒される。

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●『神水の中のナイフ』王学博監督(中国)

寧夏・西海固。高地砂漠の過酷な環境で慎ましい生活を送る回族一家。亡き妻の法要のため、一家を支えて来た老牛を捧げることに。それを悟ったように牛は自ら飲食をやめ、体を清め始める。一族の困窮を案じながら老父はただ祈り、貴重な水で沐浴し、屠殺のナイフを研ぐ。

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●『マンダレーへの道』ミディ・ジー監督(ミャンマー)☆

ラーショーからタイへ密入国で出稼ぎにきた蓮青と阿國。國は彼女に想いを抱き、蓮青は台湾へ行きたいと願っている。労働許可証・旅券を得るために奔走し、タイの村の娘に成りすますが…。実際の事件と監督の兄姉の体験を元に中華系ミャンマー人労働者の実態を描く力作。
ミャンマー人労働者を描いたものはウー・ミンジン、アピチャッポン作品にもあり新味はないものの、綿密な取材で克明に描かれているのが凄い。タイに興味がある人も是非観ておくべき。あの結末なのであれば、グォの方をメインにした方がもっと響いたかも。ネックレスのシーンが印象的。

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●『私たち』ユン・ガウン監督(韓国)

小4の女児ソンは共働きの両親と幼い弟と暮らしている。ある日、裕福な家庭の転校生ジアと仲良くなるが、夏休みの一週間で二人の間に微妙なズレが。新学期が始まるとソンは仲間外れにされ…。コレエダ調とも思えるカメラワークで子供たちの葛藤と成長を捉えた瑞々しい一品。
主演の子が姪っ子にびっくりするくらい似ててビビった。もう中3になってるけど。公開されるなら教えてあげよう。

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【2016年11月22日(月)】
フィルメックス3日目。王兵監督『苦い銭』、張撼依監督『よみがえりの樹』。そして、ちょっと時間に余裕ができたのでフィルムセンターで『白毛女』、という中華三昧だった。

●『苦い銭』王兵監督(中国)

浙江省・潮州の雑居ビルの中にある縫製工場で働く工員たちの群像。一日に200着以上のノルマが達成できない青年の挫折。ミシンとスマホを器用に操る男。酒に溺れる妻子持ち。喧嘩ばかりしてる夫婦…。コピー商品一点17.5元。広徳のマルチ商法の話題など。シビアだけど活力感じる。

●『よみがえりの樹』張撼依監督(中国)☆☆

陜西省の山間部。明春と息子・磊磊が林で薪を拾っていると、亡き妻の魂が息子に乗り移る。かつて住んでいた家(窰洞)の敷地に立つ結婚記念の樹を移植したいと彼女は願う。その村は潰され平地にされることになっていた。家族と土地の記憶を巡る切ない怪異物語。期せずして秀作。
「樹は私たちのことをいつまでも覚えてる」。夫の明春が妻の親戚に疎まれている理由がまた凄い。名前を安易に出したくないけどアピチャッポン映画に肉薄した作品。画も映画技法も凝っていて良かった。

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【2016年11月24日(木)】
23日はパスして、本日から有楽町でフィルメックス後半戦。イ・ヒョンジュン監督『恋物語』、エチオピアのチキンカレーを食べたあと、エドゥアルド・ロイ・Jr監督『普通の家族』を観て来た。

●『恋物語』イ・ヒョンジュン監督(韓国)

芸術を志すユンジュは32歳で恋愛に縁がなく友人に修道女と揶揄されるほど。ある日、バーで働く若い女ジヌと出会い、導かれるように恋に落ちる。女性の同性愛を正攻法で真正面から描く。劇中、いくつかの恋愛話が並列され、彼女たちの恋愛が特別なものではないことを暗に語っている。

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●『普通の家族』エドゥアルド・ロイ・Jr監督(フィリピン)

ホームレスの夫婦アリエス17歳とジェーン16歳は時に盗みをしながら生後1ヶ月の乳児を育てている。ある日、近づいてきたTGのエルサに乳児を誘拐され…。二人の生命力ある姿に魅せられる。滴る母乳と「今日はどこに寝る?」の会話。挿入される監視カメラ映像が独特のリズム。

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【2016年11月25日(金)】
東銀座で登山家・フォトグラファーのジミー・チン監督によるドキュメンタリー『MERU』の試写、有楽町でフィルメック・イスラエル映画の特集でアヴィシャイ・シヴァン監督『ティクン〜世界の修復』を観て来た。

●『MERU』ジミー・チン監督

ヒマラヤ山脈メルー中央峰にそびえるシャークス・フィン”。このルートでの登頂に失敗した3人の一流クライマーが、過去の葛藤を乗り越え、再び挑戦していく。絶壁で宙吊りテント生活など目がくらむような映像多数。トップクライマーの強靭な肉体と精神に感嘆する。大晦日公開。

●『ティクン〜世界の修復』アヴィシャイ・シヴァン監督(イスラエル)☆☆

まじめな神学校生のハイム・アロンは、ある日昏睡状態になり、一命をとりとめる。その後神学への興味を失い、夜の街を徘徊するようになる。性に目覚めたユダヤ超正統派の青年の、ある種の青春モノとしてみると凄く切ない。モノクロ映像、とりわけ霧の中で起きる描写が素晴らしい。
父親はコシェルの方法で牛を解体する仕事をしているが、罪悪感を持ってるようで、夜な夜なおかしな夢を見る。その罪悪感からか肉牛を外に逃がしてしまう。そして事故が起きる。彼らにとって戒律を破り、超正統派コミュニティから逸脱することの意味。ハイムは新しい世界観を築こうとしていたのか?

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【2016年11月26日(土)】
フィルメックスコンペ全て観てるわけでないけど『バーニング・バード』『マンダレーへの道』『よみがえりの樹』『普通の家族』『私たち』あたりが各賞に絡むのではないかと予想。観なかったけど『オリーブの山』もありそうだな。大穴で『神水の中のナイフ』。これも決して悪くなかった。(posted at 16:25:37)

フィルメックス最終日。閉会式+クロージング作品、許學文・歐文傑・黃偉傑監督『大樹は風を招く』を観て来た。皆さんお疲れさまでした。(明日もプログラムはあるけど)

●『大樹は風を招く』許學文・歐文傑・黃偉傑監督(香港・中国)

中国返還前の香港。「大物ギャング3人が何かしでかす」という噂が広まったことから、お互い会うこともなかった3人が連絡を取り合うが、それが運命を一変させてしまう。面白かった。EDで沢田研二『時の過ぎ行くままに』のカバー。井上尭之のギターで聴きたかったけどシビれた。
もう一度観ないと細かいところはよくわからないけど、誘拐で金をゆする香港どっぷりな卓子強(海陸豊へ)、電化製品の密輸で稼ぐ大陸寄りの葉國歡(西湾で「大陸野郎は…」でキレる)、アイデンティティのよくわからない季正雄っていう構図なのか?実は風満楼ですれ違っていたというオチ。

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【受賞結果】
●最優秀作品賞:『よみがえりの樹』
●審査員特別賞:『バーニング・バード』
●観客賞:『私たち』(スペシャルメンションも)
●学生審査員賞:『普通の家族』
タレンツ・トーキョー
●タレンツ・トーキョーアワード:「Go Ashore」

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『よみがえりの樹』チャン・ハンイ監督


去年が「映画の冒険」的映画が多かったのに対し、今年は「世界の現状」的な作品が多かった。それと、牛映画3本、『世界の起源』系2本。昔なら市山さん捕まってるかもしれない。(笑)

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