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29th TIFF [アジア総合・日本]

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第29回東京国際映画祭 10/25~11/3@六本木

チケット販売サイトのサーバーダウンという前代未聞のトラブルで始まった第29回東京国際映画祭。僕も長年参加してきましたが、チケットが購入できないという事態になったのは初めてですね。

CROSSCUT AISA 第3弾は「カラフル!インドネシア」と称したインドネシア特集。(→別枠で
そして今回の個人的なメインイベントは8時間以上に及ぶラヴ・ディアス監督の大作『痛ましき謎への子守唄』でしたが、コンペティション・アジアの未来部門でもフィリピン映画が入賞するという(『バードショット』と『ダイ・ビューティフル』はどちらも見逃してしまったけれども)フィリピン映画の隆盛を物語る結果となったようです。

29thTIFFの個人的ベストは、1.痛ましき謎への子守唄 2.ミスター・ノー・プロブレム 3.見習い 4.鳥類学者 5.ゴッドスピード/フィクション。/ブルカの下の口紅 でした。

以下、ツイッターメモのまとめと加筆です。


【10月26日(水)】
体調絶不調のままTIFFに突入。『三人姉妹』、『メコン大作戦』『ブルカの中の口紅』『ジェット・スキン・パパ』を観る。EXシアターはB1Fなら後方の方が個人的には観やすそう。


『三人姉妹』(2016年版)ニア・ディナタ監督(→CROSSCUT ASIA #03

『メコン大作戦』ダンテ・ラム(林超賢)監督(香港・中国)

麻薬の密造エリアとして知られる「黄金の三角地帯」。このエリアのメコン河で中国船が拿捕され、乗組員13人が殺された。雲南省の麻薬取締官・高剛を中心とした特殊部隊が組織され、無法地帯へ乗り込んでいく。
11年に起きたメコン川中国船襲撃事件を元に脚色。絶え間なく発生するアクションシーンには度肝抜かれた。タイ軍部と麻薬王が通じている点が描かれており、タイでは現政権が上映させないのもうなずける。警察犬・哮天が大活躍。

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『ブルカの中の口紅』アランクリター・シュリーワースタワ監督(インド・ヒンディー)☆

ボパールを舞台に4人の世代の違う女性たちの自由への欲求を赤裸々に描く。恋人がいながら親のすすめる相手と婚約する女、時々万引きをしながら歌手を夢見ている学生、夫の性暴力に耐えながら害虫駆除の道具を訪問販売する主婦、若い水泳コーチに恋心を抱く老女。インド映画にしてはかなり大胆な性描写で、婚約式での不倫Hは伊丹監督『お葬式』に匹敵しそう。ユーモアのセンスや繊細な心理描写、物語の巧みさがヤスミン・アフマド監督を彷彿とさせる。

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『シェド・スキン・パパ』ロイ・シートウ(司徒慧焯)監督(香港・中国)

認知症の父親が脱皮してどんどん若返っていく不条理コメディ。人生どん詰まりの映画監督が父親の人生に邂逅していく。哲学的で後半は染み入る。ガンダム世代は泣くかも。しかし、大陸の観客にオモネッている部分もあり、不条理コメディゆえに描きだせる風刺みたいなものが抜け落ちてる感じもする。
これは個人的願望だけど、「脱皮媽媽」も彭浩翔監督で見てみたい。ルイスが抜け骸をダッチ人形としてネットで売るというストーリーで。

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【10月27日(木)】
TIFF2日目。アンガ・ドゥイマス・サソンコ監督『珈琲哲学 恋と人生の味わい方』(インドネシア)、ブー・ジュンフェン監督『見習い』(シンガポール)、鐘孟宏監督『ゴッドスピード』(台湾)を観てきた。


『珈琲哲学〜恋と人生の味わい方』アンガ・ドゥイマス・サソンコ監督(→CROSSCUT ASIA #03

『見習い』ブ−・ジュンフェン監督(シンガポール)☆

軍隊を辞め刑務官になったアイマンはラヒムという老死刑執行官の補佐をすることになる。だが、ラヒムは死んだ父とある接点があった。張りつめた緊張感。22歳の挫折の物語でもある。死刑制度から国家を見据える姿勢は大島『絞死刑』と比較してもいいかも。今年の1本になりそうな予感。
今回のラインナップで凄く観たかった作品の一つだったが、期待以上のものがあった。前作『サンドキャッスル』からさらに飛躍してワールドクラスの作家になった感じだ。

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『ゴッドスピード』チョン・モンホン(鍾孟宏)監督 ☆

タイ歌謡で始まり谷村新司で終わる。25年前に香港から移住したタクシーの運転手(マイケル・ホイ!)と麻薬の運び屋(納豆)が黒社会に翻弄されるというロードムービー。特異な世界観と完璧主義は今回も健在。笑いも渋い。まあ、タランティーノ色強いのは確かだが。メコン大作戦にも出てたヴィタヤ・ハスリンガムも。
せっかくの許冠文なのだから、タクシー場面はコメディアンの納豆とフリースタイルな笑いの応酬で見せても良かったかも。ちょっと統制効きすぎて固苦しかった。それであの冷酷なヤクザとの対比で見せた方が、化学反応は大きかったかも。

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10月28日(金)
TIFF3日目は特集組まれているテディ・スリアアトマジャ監督”親密さについての三部作”2作目『タクシードライバー日誌』(13)1本のみ。1作目の『ラブリーマン』(11)は既に観ているので今回はパス。

『タクシードライバー日誌』テディ・スリアアトマジャ監督(→CROSSCUT ASIA #03


【10月29日(土)】
TIFF4日目。成田からジャカルタまでのフライト時間ほどあるラブ・ディアス監督『痛ましき謎への子守唄』休憩中。リサール処刑直後の時期描いている。始めの方でギターの弾き語りをしているのがフィリピンの伝説的バンド・イレイサーヘッズのボーカルのエリーだったことに感激する。

『痛ましき謎への子守唄』ラブ・ディアス監督(フィリピン)☆☆

ホセ・リサール処刑後の独立革命派「カンプティナン」の内紛を主に2つのパートで描いている。一つは初代大統領になるエミリオ・アギナルドによって処刑されたアンドレス・ボニファシオの妻グレゴリアが、双子の山(タラ山とブンディス山)で夫の遺体を探すパート。土着の神話、ティクバラン(馬人)や、巨人カルピオなどの伝説、ゴロラム信教団の信仰者たちが絡む。
もう一つのパートはホセ・リサールが著した小説「ノリ・メ・タンヘレ(我にふれるな)」と「エル・フィリブステリスモ(反逆)」の登場人物である詩人イサガニが反逆者とされ仲間によって傷を追ったシモン(クリソストモ・イバラ)をジャングルの中を歩きながら叔父の家までを運ぶパートである。二人がホセ・リサールの辞世の詩を暗唱するシーンがこの映画の白眉で最も感動的なシーンだ。フィリピン建国の根幹に迫るような呪われた独立革命の本質を、8時間という超長尺とモノクロ映像で描く。同じ内容のセリフの繰り返しが少しクドいところがあったり、もっと削って研磨したらさらに輝かしい傑作となったと思うが、でもこの作品の凄さに変わりはないだろう。シモンがクイアな中国系と飲んだくれるシーン、裏切りの王女も気になるシーンだった。

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【10月30日(日)】
TIFF5日目。ジョアン・ペドロ・ロドリゲス監督『鳥類学者』(ポルトガル)、デイヴィ・シュー監督『ダイヤモンド・アイランド』(カンボジア)。『舟の上〜』観る予定が何故か日付間違えて27日のチケットとってしまってたようで、一枚無駄にしてしまった。痛恨。

『鳥類学者』 ジョアン・ペドロ.ロドリゲス監督(スペイン)☆

鳥類学者が野外調査中に川で遭難。夢とも現ともつかぬ禍々しい世界を冒険していく。リスボン生まれの聖人アントニオの人生に準え、西部劇も意識しているという。いたずら好きゴブリンのような『オデット』や土地の記憶に迫った『マカオの追憶』の風情。天狗のお面も愛嬌たっぷり。
とりあえず、目が覚めたら緊縛されてても大丈夫なように、きれいなパンツをはいておこう。

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『ダイヤモンド・アイランド』デイヴィ・シュー(ダビィ・チョウ)監督(カンボジア)

田舎からプノンペンに働きにきた少年ボラ。開発地区で建築作業員として働いていたが、ある日5年間音信不通になっていた兄と再会する。プノンペンの今をビビッドかつ繊細に美しくとらえた作品。一時期のジャ・ジャンクー作品を彷彿。発展の裏にある虚空をみつめる。

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【10月31日(月)】
TIFF6日目。今回ぜひ観たかった作品の一つモーリー・スリヤ監督のデビュー作『フィクション。』(インドネシア)、金馬奨ノミネート張大磊監督『八月』(中国内蒙古)、トリロジー最終作テディ・スリアアトマジャ監督『アバウト・ア・ウーマン』(インドネシア)。

『フィクション。』 モーリー・スリヤ監督(→CROSSCUT ASIA #03))☆

『八月』チャン・ダーレイ(張大磊)監督(中国)

90年初頭の内モンゴルの小さな町を舞台に12歳の小雷の夏休みとその家族。父親の勤める撮影所の民営化、進学希望の三中に通うサンという年長の 少年の逮捕など、大きな変化の只中にありながら、無邪気な童年往時を柔らかなモノクロ映像でノスタルジックに描く。
口が裂けない程度にカラオケ♫は誰の曲?
(なんとこの作品、第53回金馬獎で最優秀作品賞)

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『アバウト・ア・ウーマン』テディ・スリアアトマジャ監督(→CROSSCUT ASIA #03


【11月01日(火)】
TIFF7日目。インドネシアの巨匠ウスマル・イスマイル監督『外出禁止令のあとで』('54)、東京中国文化センターの無理上映で管虎監督『ロクさん』。

『外出禁止令のあとで』ウスマル・イスマイル監督(→CROSSCUT ASIA #3

『ロクさん』管虎監督(中国)

胡同に住む六爺は義侠心厚い男で困ってる仲間を放っておけない。ある日、息子の暁波が地方省長の息子・小飛の集団に監禁されてることが判明。息子が傷つけた外車の修理代を3日以内に工面する約束をするが、話は思わぬ方向へ。ラスト、日本刀で乗り込んでいくのは健さんオマージュか?

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【11月02日(水)】
TIFF最終日(昨日)。梅峰監督『ミスター・ノー・プロブレム』(中国)、スダー・コーングラー監督『ファイナル・ラウンド』(インド・タミル)。

『ミスター・ノー・プロブレム』梅峰監督(中国)☆☆

民国時代。重慶にある樹華牧場を管理する「丁務源」主任は経営者の許家や株主の佟家に愛想がよく、労働者にもいい顔をする。そのため経営は赤字続き。知り合った芸術家崩れの御曹司?「蓁妙斎」(福山雅治似)に部屋を貸して一年一万元の収入を増やそうとするが、不払いが続く。
一向に経営が好転しないため経営者は丁の代わりに洋行帰りの「尤大興」を主任に送り込む。熱心な新主任は労働者を解雇宣告したり改革をすすめるが、蓁の煽動と悪知恵で卵泥棒として逆に辞任へ追い込まれる。そんな蓁も憲兵に連行され、再び丁が主任に納まりめでたしめでたし…。これでよかったのか?と思わせる。
画も脚本も素晴らしくこれがグランプリでもおかしくない出来。老舍という作家の短編が原作で、特徴的なキャラクターを出し社会風刺する感じが同時代の魯迅の小説に似ている。それは現代中国社会の抱える矛盾の暗喩にもなっている。月媚(第三夫人)が主人の前で舞ってたのが梅蘭芳の得意な「貴妃酔酒」で、民国時代物にはほぼ高確率で出てくる。

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『ファイナル・ラウンド』スダー・コーングラー監督(インド・タミル)

セクハラの嫌疑からハリヤナ州ヒサールからチェンナイに左遷させられたボクシング・コーチのプラブは漁師の娘マディに才能を見出す。マディの姉の嫉妬、マディの実力が発揮されずにいたが、三たびのチャンスが訪れた時、スポーツ協会デイブ・カトリの非道でプラブはマディのコーチをおろされる…。
主人公がノックアウトしたクライマックスシーン、映画祭疲れがピークで気を失って見逃してしまったが、定石通りの展開。なんか日本のスポ根マンガを読んでるような、目力とか盛り上げ方とか共通点が多いと思う。
同じボクシングものの『オリ・マキの人生で一番幸せな日』を観るべきだったかな。

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【受賞結果】
コンペティション部門
●東京グランプリ:「ブルーム・オヴ・イエスタデイ」
●審査員特別賞:「サーミ・ブラッド」
●最優秀監督賞:ハナ・ユシッチ監督(「私に構わないで」)
●最優秀女優賞:レーネ=セシリア・スパルロク(「サーミ・ブラッド」)
●最優秀男優賞:パオロ・バレステロス(「ダイ・ビューティフル」)
●最優秀芸術貢献賞:「ミスター・ノー・プロブレム」
●WOWOW賞:「ブルーム・オヴ・イエスタデイ」
●観客賞:「ダイ・ビューティフル」

アジアの未来部門
●作品賞:「バードショット」(ミカイル・レッド監督)
●国際交流基金アジアセンター特別賞:「ブルカの中の口紅」(アランクリター・シュリーワースタウ監督)

日本映画スプラッシュ部門
●作品賞:「プールサイドマン」

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